『認知症』の常識が、今変わろうとしています。
認知症は治らないとか、進行が防げないという“常識”が
今、医療の現場で、変わろうとしているようです。
アルツハイマー病が多くを占める、『認知症』ですが、
いくつか種類があるので、ひとくくりで『認知症』と診断されてあきらめるのは
早いということです。
例えば、『正常圧水頭症』であれば、脳脊髄液が脳を圧迫し、
思考や、運動を妨げる為、手術で脳脊髄液を抜けば劇的に変化を遂げる。
脳医療の進歩で、色々な事が解って来ている今、
あきらめるのは、早いかも。という事のようです。
ダンスセラピーの現場で多くの認知症の方々とお会いする私としては、
実際に、身体表現をする事で元気になる方々を多く目にしています。
ダンスセラピーでは、
作業療法などの領域で「運動」や「体操」として行われるものと、
すこし違った運動の方法を行います。
それは、「身体表現」というクリエイティブな作業を、組み込むからなのです。
そこには、「イメージ」や、「思い出」など、
脳を活性させる要素が、多く含まれます。
例えば、何か季節の言葉で浮かぶ言葉を問いかける。
「さくら」「花見」「酒」「桜餅」「お弁当」「お茶」
それぞれに、思い出の中から言葉を引き出します。
その時、既に、脳を活性させています。
言葉を発するとき、参加者の誰かが、手を動かして、自分のイメージを
表現することが、よくあります。
「さくら」の一言で、桜の花びらが舞うイメージの手の動きが行われる。
セラピストは、それを見逃したりはしません。
その動きは、ダンスそのもの。
参加者の方々から、生まれる動きをデフォルメして、
ダンスとして、構成していくと、ステキなパフォーマンスになります。
その時の、参加者の方々の笑顔や、涙(思い出がある場合多い)、
動きには目を見張るものがあります。
自身で食事が出来ない方でも、ダンスの時は手が動いている。
「そのまま、食事が前に出てきたら、食べてくれるかも!」
そんな事を言う介護福祉士の方も。
私たちよりも、たくさんの経験を積んで来られた方々だからこそ、
深層心理、脳の奥底には、私たちの何倍ものメモリーが構築されているはず。
そんなメモリーを、少しだけ引き出して、動きを忘れてしまっている個所に
ちょっと刺激を与える。
そんなことが、ダンスムーヴメントセラピーにできるのだから、
こんな仕事が出来て、ホントよかったなぁと実感し、
元気をもらって、わたしがセラピーされて帰ってくる日々でございます。